日本全国に残る洋館を紹介していきます。
by okuruma1970y
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池田氏庭園洋館(秋田)
29件目は秋田県大仙市の個人住宅をご紹介します。
旧池田氏庭園洋館は、秋田県 大仙市 高梨字大嶋(地図)にある旧個人住宅で、鉄筋コンクリート造2階建ての建物は大正11(1922)年に建てられました。
秋田県内では最初の鉄筋コンクリート造建築ということですが、今村敬輔という設計者の詳細は不明です。
池田家は、山形(酒田)の本間家、宮城(石巻)の斉藤家と並ぶ東北三大地主の一つで、この洋館は14代の池田文一郎によって建てられました。
池田家は、小作人を多く抱える大地主であったものの、病院の開設など地域貢献にも尽力し、この建物も個人住宅とは書いたものの、居住用ではなく、私設図書館として地域の青少年に開かれていました。
また、賓客も多く、迎賓施設としての機能も備えていました。
この洋館は昭和40年頃から使われておらず荒廃していたようですが、敷地が平成16年に旧池田氏庭園として国の名勝に指定されたことから、平成18年から5年をかけて修復されました。
総工費は約2億8千万円で、国と現在の所有者である大仙市とで半額ずつ負担したそうです。
外壁は光沢のある磁器タイル貼りで、ところどころにモルタルで装飾が施されています。
庭園の池を眺める向きに階段を設け、踊り場から池を中心とした庭園を見下ろすことができるように作られています。
玄関から見て建物の背面には、踊り場と同じく池を眺められる大きな屋上庭園があります。
その階下は撞球室(ビリヤード室)になっており、そのまま庭園に出入りできるように作られています。
正面には、玄関の真上には小さなバルコニーを、少しずらした位置にドームを戴いた搭屋を設けています。
ドームは白く平滑なので、鉄板で葺かれていると思っていたら、木の骨組みに野地板を張り、モルタルを塗って洗い出した造りで、平成18年からの修復の途中で元の構造が判明し、復元されたそうです。
玄関はシンプルな開き戸ですが、イオニア式柱頭を備えた大理石の柱で、玄関ポーチ兼テラスを支えています。
玄関を入ると、ホールを経て、正面には食堂兼音楽室があります。
天井の漆喰細工はシンプルながら、手の込んだシャンデリアが吊り下げられています。
豪華な雰囲気を醸し出しているのは、金唐革紙の壁紙で覆われているから。
金唐革紙とは、ヨーロッパで高級壁紙として使われていた金唐革を、和紙を使って真似たものでしたが、本場の金唐革より質が良かったことから、逆に輸出することになったのでした。
旧日本郵船小樽支店(北海道小樽市)や林国蔵邸(長野県岡谷市)など、国内の10件ほどで見られます。
修復は金唐紙研究所により、版木ロールを作るところから始められましたが、2階食堂の金唐革紙は国会議事堂の一室と同じ柄で、保存されていた版木で再現できたそうです。
屋上庭園下の撞球室には、大きなビリヤード台が鎮座していますが、穴のないキャロムテーブルというタイプでした。
屋上庭園の直下にあり、長年の風雪で防水機能が劣化してしまったようで、修復前はこの撞球室が一番腐食が激しかったとのことでした。
緑色のガラスがはめ込まれた扉からは、庭園に直接出ることができますが、ビリヤード台の色によく合っています。
迎賓施設としての食堂や撞球室は豪華で目を惹きますが、私設図書館としての機能も持ち合わせており、玄関の左手には閲覧室が、またその奥には図書庫があります。
2階にも閲覧室と図書庫があり、1・2階の図書庫の間には急な階段で昇り降りできるようになっていることから、地元の青少年が利用するときは、この階段をを使っていたのかも知れません。
本来の階段は、庭園を見下ろす踊り場を持った豪華で余裕ある構造です。
広間と称する玄関と各室の間の廊下は、豆タイルが敷き詰められ(写真右下部)、その奥、階段踊り場の直下は、基礎の高さ分が掘り下げられて、お手洗いになっています。
2階正面には、玄関ポーチ上のテラスに出る扉が設けられています。
屋上庭園とともにアスファルトで防水処理(舗装)されていたそうで、修復でも再現されています。
テラスの正面には、2階食堂(1階食堂兼音楽室の直上)があり、この部屋も金唐革紙で壁が覆われています。
天井は、周囲が木で中央部が漆喰にシャンデリアが2つという、基本構成は1階と同じですが、二条三条の格子で仕切られているところは、少し手が込んでいます。
図書庫のところでも触れましたが、テラスの左手、1階閲覧室の上にも閲覧室があり、この2階閲覧室のシャンデリアだけには羊がモチーフに用いられています。
修復に当たっては当時を再現すべく金メッキしたそうで、豪華な雰囲気から察するに、実質的には当主用の閲覧室だったのかも知れません。
庭園の池の向こうから洋館を眺めると、水面にその姿が映り、優美です。
旧池田氏庭園は、平成19年に池田家から大仙市に寄贈されましたが、常時公開されているわけではなく、春夏秋の限られた期間だけ公開されています。
(参考:平成25年度計画 春:5/25〜6/9、夏:8/25のみ、秋:10/19〜11/10)
また、この洋館は、庭園公開時に1階部分だけ公開されるほか、年に1・2回だけ事前予約制で2階も含めた見学会が行われています。
(参考:平成25年度の計画 5/24金、10/18金の2回)
見に行ったのは平成24年(2012年)10月でした(旅行記)。
Olympus Pen E-P1(1,200万画素)で撮影。
建物の情報や見学案内など、大仙市のHPはこちら。
ホームページ洋館探訪の「秋田県の洋館」のページはこちら。
旧池田氏庭園洋館は、秋田県 大仙市 高梨字大嶋(地図)にある旧個人住宅で、鉄筋コンクリート造2階建ての建物は大正11(1922)年に建てられました。
秋田県内では最初の鉄筋コンクリート造建築ということですが、今村敬輔という設計者の詳細は不明です。
池田家は、山形(酒田)の本間家、宮城(石巻)の斉藤家と並ぶ東北三大地主の一つで、この洋館は14代の池田文一郎によって建てられました。
池田家は、小作人を多く抱える大地主であったものの、病院の開設など地域貢献にも尽力し、この建物も個人住宅とは書いたものの、居住用ではなく、私設図書館として地域の青少年に開かれていました。
また、賓客も多く、迎賓施設としての機能も備えていました。
この洋館は昭和40年頃から使われておらず荒廃していたようですが、敷地が平成16年に旧池田氏庭園として国の名勝に指定されたことから、平成18年から5年をかけて修復されました。
総工費は約2億8千万円で、国と現在の所有者である大仙市とで半額ずつ負担したそうです。
外壁は光沢のある磁器タイル貼りで、ところどころにモルタルで装飾が施されています。
庭園の池を眺める向きに階段を設け、踊り場から池を中心とした庭園を見下ろすことができるように作られています。
玄関から見て建物の背面には、踊り場と同じく池を眺められる大きな屋上庭園があります。
その階下は撞球室(ビリヤード室)になっており、そのまま庭園に出入りできるように作られています。
正面には、玄関の真上には小さなバルコニーを、少しずらした位置にドームを戴いた搭屋を設けています。
ドームは白く平滑なので、鉄板で葺かれていると思っていたら、木の骨組みに野地板を張り、モルタルを塗って洗い出した造りで、平成18年からの修復の途中で元の構造が判明し、復元されたそうです。
玄関はシンプルな開き戸ですが、イオニア式柱頭を備えた大理石の柱で、玄関ポーチ兼テラスを支えています。
玄関を入ると、ホールを経て、正面には食堂兼音楽室があります。
天井の漆喰細工はシンプルながら、手の込んだシャンデリアが吊り下げられています。
豪華な雰囲気を醸し出しているのは、金唐革紙の壁紙で覆われているから。
金唐革紙とは、ヨーロッパで高級壁紙として使われていた金唐革を、和紙を使って真似たものでしたが、本場の金唐革より質が良かったことから、逆に輸出することになったのでした。
旧日本郵船小樽支店(北海道小樽市)や林国蔵邸(長野県岡谷市)など、国内の10件ほどで見られます。
修復は金唐紙研究所により、版木ロールを作るところから始められましたが、2階食堂の金唐革紙は国会議事堂の一室と同じ柄で、保存されていた版木で再現できたそうです。
屋上庭園下の撞球室には、大きなビリヤード台が鎮座していますが、穴のないキャロムテーブルというタイプでした。
屋上庭園の直下にあり、長年の風雪で防水機能が劣化してしまったようで、修復前はこの撞球室が一番腐食が激しかったとのことでした。
緑色のガラスがはめ込まれた扉からは、庭園に直接出ることができますが、ビリヤード台の色によく合っています。
迎賓施設としての食堂や撞球室は豪華で目を惹きますが、私設図書館としての機能も持ち合わせており、玄関の左手には閲覧室が、またその奥には図書庫があります。
2階にも閲覧室と図書庫があり、1・2階の図書庫の間には急な階段で昇り降りできるようになっていることから、地元の青少年が利用するときは、この階段をを使っていたのかも知れません。
本来の階段は、庭園を見下ろす踊り場を持った豪華で余裕ある構造です。
広間と称する玄関と各室の間の廊下は、豆タイルが敷き詰められ(写真右下部)、その奥、階段踊り場の直下は、基礎の高さ分が掘り下げられて、お手洗いになっています。
2階正面には、玄関ポーチ上のテラスに出る扉が設けられています。
屋上庭園とともにアスファルトで防水処理(舗装)されていたそうで、修復でも再現されています。
テラスの正面には、2階食堂(1階食堂兼音楽室の直上)があり、この部屋も金唐革紙で壁が覆われています。
天井は、周囲が木で中央部が漆喰にシャンデリアが2つという、基本構成は1階と同じですが、二条三条の格子で仕切られているところは、少し手が込んでいます。
図書庫のところでも触れましたが、テラスの左手、1階閲覧室の上にも閲覧室があり、この2階閲覧室のシャンデリアだけには羊がモチーフに用いられています。
修復に当たっては当時を再現すべく金メッキしたそうで、豪華な雰囲気から察するに、実質的には当主用の閲覧室だったのかも知れません。
庭園の池の向こうから洋館を眺めると、水面にその姿が映り、優美です。
旧池田氏庭園は、平成19年に池田家から大仙市に寄贈されましたが、常時公開されているわけではなく、春夏秋の限られた期間だけ公開されています。
(参考:平成25年度計画 春:5/25〜6/9、夏:8/25のみ、秋:10/19〜11/10)
また、この洋館は、庭園公開時に1階部分だけ公開されるほか、年に1・2回だけ事前予約制で2階も含めた見学会が行われています。
(参考:平成25年度の計画 5/24金、10/18金の2回)
見に行ったのは平成24年(2012年)10月でした(旅行記)。
Olympus Pen E-P1(1,200万画素)で撮影。
建物の情報や見学案内など、大仙市のHPはこちら。
ホームページ洋館探訪の「秋田県の洋館」のページはこちら。
by okuruma1970y
| 2013-03-30 18:50
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